山本は立ち上がると、静かに言った。

「先生。私、信じてほしかった」

「ああああああああ!」

声の限り叫んだ。

そうすれば目の前からいなくなるかも。

こんなに恐怖を感じたことはない。

「誰か、誰かぁ!」

「先生、わかる? 誰からも助けてもらえない気持ち。あたし、ずっとそうだった」

山本が1歩私に近づく。

「来ないで! お願い、いなくなってよぉ!」

扉に背をつけて、山本から逃げようとする。

汗が次から次へと額からこぼれた。

いや、これは涙かもしれない。