「はぁ……。申しわけありません」
しおらしく、鏡は黒いメガネをはずして頭をさげた。

彼なりの礼儀なのだろう。

「そうと決まったらあなたたちは帰りなさい。今すぐに!」

兼子先生の声に、千夏と美鈴は、
「はい」
と、素直にうなずいて元来た道を引き返した。

「あなたも」

怖い顔で言ってくる兼子先生。

「先生」

「……」

「純子は先生の名前もあの放送で言っていましたよね?」

「だから何なのよ」
爆発しそうな怒りの表情を浮かべながら、兼子先生は聞き返した。

ヒスばぁ、と呼ばれるのもムリはない。