「いい加減にしなさい!」
兼子先生が大きな声を出した。

「先生……」

「何が呪いですか、バカバカしい。そんなのこの現代社会にあるわけないじゃないの」
吐き捨てるように言うと、あきれたような顔をした。

そして、私の目をまっすぐに見つめる。

「いい? 山本さんは精神を病んでいたの。被害妄想からありもしない『いじめ』をでっちあげ、そしてありもしない『呪い』をかけて亡くなった。それだけのことでしょう!?」

「それだけのこと、って……ひどい言い方」

精一杯の抗議をする私を無視して、兼子先生は鏡の方を向く。

「刑事さんも刑事さんですよ。こんなマスコミが好むようなネタに真剣にならないでください。一刻も早く犯人を捜すのが警察の務めなんじゃないんですか?」