「おかしいですね」
兼子先生が目ざとく声を出した。

「刑事さんが呼んだはずでしょう? それなのに、用事の内容もわからないのですか?」

「そうじゃありません。初めは橘さんから話があると伺いまして、しかし探してもいない。ですから、部下に呼びに行かせたわけです」

サラサラっと答える鏡は、よほど頭が良いのだろう。

なんだかそのスマートさがうらやましくなる。

「【444】についてお聞きしたかったんです」

私は尋ねたかったことをようやく聞けた。

鏡は片眉をあげると、
「【444】って?」
と繰り返した。