「待ちなさいよ」

千夏と美鈴も後ろをついて来たが、ほうっておくことにした。


校門前に生徒は少なくなってきており、カメラも学校の概観を撮影したりしている。

それを無視して私は校門から中へ入ろうとする。

「ちょっと、橘さん」

いつの間に戻ってきたのか、兼子先生が私の腕をつかんだ。

「帰りなさい、って言ったはずよ」

「呼ばれたんです」

「誰に?」

「鏡刑事です。だから、来たんです」

あまりウソは上手ではないけど、自然な感じで言えたような気がする。

「どうして鏡刑事があなたを呼ぶのよ」
疑う目つきで兼子先生は言った。

腕を組んで、立ちはだかっている。