「俺、帰る。とても耐えられねぇ」

まだ青い顔の太一がフラフラと歩き出す。

「送っていく」
涙声の瑠奈が私に言うので、
「うん」
と、うなずいた。

「出ません」
電話をしまいながら、美鈴が小さく言った。

やはり太一の言う通り、渚なのだろうか。

このまま家に戻っても、事態は把握できない。

私は学校の方へ歩き出した。

「どこ行くのよ」

非難するような声の千夏には答えずに、どんどん歩いてゆく。