「ヒスばぁになってんね」

千夏も不思議そうにその背中を見送っている。


その時、校門の中に鏡刑事の姿が見えた。

横にいるのは、太一だった。

太一は陸上部のユニフォームを着ている。

心なしかその顔が青ざめて見えた。

鏡が太一になにか言うと、ゆっくりと太一がうなずいた。

鏡はそのまま近くにいる警官と話をし出す。

校門から出て来た太一に、私と瑠奈は声をかけた。

「ああ……」

太一は、私たちを認めると力なくその場に座り込んでしまう。

カメラマンがそれを映そうと近づいて来るので、あわてて起こすと、私たちは歩き出した。