お父さんとお母さんがうまくいっていないのは、なんとなく知っていた。

お母さんがイライラしてお酒に逃げ出したのもそのころ。

それでもお父さんは、あたしにはやさしかった。

たとえふたりが言い争いをしていても、あたしにはやさしくしてくれた。


それなのに……。


ため息がこぼれた。

頭を振って、考えを中断した。


やめよう……。


何度も考えたこと。

そのたびに苦しくなるから。

明日になれば、きっとお母さんが笑顔になってくれる。

昔みたいに笑ってくれる。


でもそれは、毎日のように願っても叶わないことも知っている。