「苦しいよね?」

純子が髪を優しくなでる。

その優しさの奥には、私への恨みがうず巻いていることは間違いない。

純子が立ち上がって、
「ラクにしてあげるね」
そう言った時、私は自分がしてきたことをはじめて後悔した。

今さら言葉にしてもどうしようもない。


カラララ


地面を引きずるバッドの音。

両手でまたバッドを握りしめると、純子は大きく振りかぶった。

私はそれを不思議な気持ちで見ていた。

純子のすぐ横に、大きな月が恐ろしいほど輝いている。

逆光で純子がどんな表情をしているのかが見えないくらい。