そこに向かってバッドを振っても、むなしく宙をスイングするだけだった。

息があがる。

いつの間にか、純子が私の正面に立っていた。

「じゃあ、今度はあたしの番ね」
そう純子が言った途端、私の手からバッドがすり抜けた。

宙をゆっくりと飛び、それは純子の手の中へ。

「こうかな」

純子が素振りをした。


ビュウンッ!


風を切る音。


なんだよ、これ……。

こんな早いスイング見たことない……。

「やめろよ……」
私はそう言いながら後ずさりをした。