「遅いねー。それでもソフトボール部?」

後ろで声が聞こえて振り返ると、純子が宙に浮かんでいた。

「うわあ!」

「こんなんでレギュラーなんてね。弱いわけだわ、あんたの部活」

「ふざけんなよ!」

今度は両手で剣のようにバッドを握り締めると、垂直に力いっぱい降ろした。


ガンッ!


大きな音を立てて、バッドは地面に当たった。

またしても、純子の姿はそこから消えていた。

「んだよ!」

「だからぁ、遅いんだって」

耳元で声。

生あたたかく腐ったような臭い。