勢いよくグラウンドに飛び出すと、そのまま走る。

「誰か! 誰か助けて!」

大声を出すが、誰の姿も見えない。

校舎にももう電気はついていないらしく真っ暗。

部室を見ると、ドアのあたりに純子が立っていた。


……逃げ切れる。


そう確信した私は力をふりしぼって走った。

太ももが痛かったが、そんなこと言っている場合ではない。

息が苦しい。

グラウンドの真ん中まで来たところで、もう一度振り返った。

純子の姿は見えない。


……あきらめたのだろうか?