当然のことながら、部室には誰もいなかった。

範子が見ていると思ったけれど、そこまではさすがにしなかったようだ。

制服に着替えようとしたときに、視界に何か映った。

古ぼけた机の上に紙が置いてある。

『渚へ 手紙出せよ』
と、マジックで書いてあった。

その下には、封筒と便箋。

「ご丁寧なこと……」

着替えるのはあきらめて、椅子に座る。

そばにあったペンを持つと、便箋に向かった。

先日、親善試合をしたのはどこの学校だっけ?

愛知から来た、って言ってたな……。

壁に貼ってあるスケジュールに目をやる。

先週の日付に、高校の名前が書いてあった。