周りの1年生がお互いの顔を見合わせている。

なるほど、と心の中で思う。

私をいじめ倒して、部活を辞めるように仕向けるつもりか。

本当にバカな女。

「はい!」

暗くなってゆくグラウンドに私は飛び出した。

開いた部室のドアから、範子の目が見ている。


……覚えてろよ。


そう心で思うと、私は走り出した。

クタクタに疲れた後のランニングはキツい。

10周目に入る頃には、足がうまくあがらなくなってきた。

それでも、私は走った。

まだ範子が見ているかもしれない。

あの女にだけは、弱いところは見せたくなかった。