「渚、手紙書いたか」

鋭い口調が復活している。

「手紙、ですか?」

「バカやろう! この間の親善試合に出させてもらったんだろうが。お礼の手紙を相手チームに出すのは常識だろうが」

「すみませんでした!」
そう言いながらも、私は冷静に範子を見る。

そんな話、聞いたことない。

「だから、お前はノロマだって言われるんだよ! 今日中に出しておけよ!」

「はい!」

「遅れたバツとして、グラウンド20周」

「はい!」

「さっさと行け!」
指でグラウンドをさして範子は言う。