「な、なんだよ」
そうつぶやくように言う範子に近づいてゆく。

今、殴ってしまえばラクだろう。

謝るまで、泣くまで痛めつけたい衝動がわきあがってきた。

これまでは、純子でストレスを発散させてきた。

しかし、ここ数日はその純子がいないせいで、どんどんイライラが募っている。

ここで殴ってしまえば……。

私は範子のそばまで行くと、その顔を見た。

威勢が良いだけで、範子はすでにおびえたような顔をしている。

次の瞬間、私は顔に申し訳なさそな表情を貼り付けた。

「すみませんでした。3年生の先輩方から次の試合について話があったもので」

「試合?」

範子の眉がピクンと動いた。