どれくらいそうしていただろう。


10秒にも思えるし、10分にも思えた。

落ち着きなく動き回り、あたしをののしる声。

必死でこの嵐が過ぎるのを待つ。

それしかできないから。


そして、あたしへ向けられる言葉のナイフが止む。


「ああ……」

やがて聞こえるその声色に、あたしは安堵する。

嵐が終わるときの声。

お母さんは、我に返ったように床にしゃがみこむ。

「純子……、ああ、どうしよう。お母さんなんてことを」

「大丈夫、大丈夫だよ、お母さん」

息がしにくくて苦しいけれど、あたしは必死で起き上がった。


ここを逃してはいけないと知っているから。