グラウンドに出ると、
「遅い!」
また、範子が大声で怒鳴った。

「すみません!」
声を出して、急いでグラウンドの整備に向かう。

後を範子がついて来る。

まだ言い足りないらしい。

先輩風吹かせるのも大変だ。

「着替えんのに何分かけてんだよ」

「すみません!」

T字の整備棒で、グラウンドを慣らしてゆく。

「着替えたらさっさと来いよ、ノロマ!」

その言葉に、私の足は自然に止まっていた。


範子を振り向く。