振り向いた私に、3年生は言う。

「監督と話して決めたんだけどさ。今度の県大会、あんたがレギュラーになるから」

「えっ!?」

驚いたフリをして目を見開いた。

「こないだの試合でもわかったけど、1年の中じゃ、実力ではあんたが抜きん出てるからさ」

「そんな」

照れながらもうれしそうにする。

内心は違う。

そんなの当然だって。

結局は実力。

範子なんて、補欠ですらもったいないくらいのプレーしかできないんだから。

「ま、がんばんなよ」

「はい!」

背筋を伸ばして元気よく答えた。