「ウチ、怖いの……。ひょっとしたら、純子はウチのことも恨んでいるのかもしれない」
そう言うと、瑠奈は嗚咽を漏らした。

「そんなことないよ」
声をかけるが、ブンブンと大きく瑠奈は首を横に振った。

「だって、助けてあげられなかったじゃん。純子のこと、見殺しにしたじゃん」

声をあげて泣く瑠奈を、ゲーセンに入って来た人たちが物珍しそうに見て去ってゆく。


見殺し……。


たしかに、そうかもしれない。

結局、何の役にもたてなかった私たち。

純子のことを、『友達』なんて言う権利はないのかもしれない。

太一が、
「まだ、さっきのが純子のお母さんだって決まったわけじゃないだろ」
と、瑠奈に言うが、瑠奈は答えずに泣き続けている。


軽快な音楽が流れるゲームセンターで、重い空気が私たちを包んでいた。