思い出しているのか、鼻でため息をつく。

私たちは黙って次の言葉を待った。

頭の中は、【444】の数字の事で埋めつくされている。

「でよぉ。店員がカギを使って開けたとき、俺もそばで見たんだ。すごい血だらけ。壁も床もすごかった」

「……」

「女の体にさぁ、鏡だかガラスだかが突き刺さってたんだ。カバンから香典袋がたくさん落ちてて、それも真っ赤になってた」

香典袋……。

「頸動脈を切ったんだろうな。まだ血が噴き出してたよ。救急車に乗ってったけど、あれはどう見ても死んでるなぁ。自殺するなら、他でやればいいのによ」

クラッとしためまいが襲った。

偶然?

いや、違う。


純子のお母さん……博実だ。