襟を持つ手が離されたアタシは、その場にくずれ落ちた。

仰向きに倒れて、その痛みに気を失いそうになる。


「お母さん」


その声に、なんとか薄目を開けると、純子がのぞきこんでいた。

真っ黒な目が見えた。


「ああ……純子。許して……」
そう言いかけたアタシの目が、純子が両手で持つ物に焦点を合わせた。


純子が持っているのは、割れた鏡の破片。

先が尖ってナイフのようなそれを、何本も持っている。

先端がアタシの顔に向いていた。


___自分の最期を知る。