「アハハハ。死んでもそんなもんなの!? バカじゃないの!」

もう一度蹴ってやろうと、足を振り上げた瞬間、床にいる純子の姿が一瞬で消えた。

驚いて、あたりを見回すアタシの耳元で、
「お母さん」
と、声が聞こえた。

「ヒャッ」

振り向いたアタシの顔のあたりに純子はいた。

足は床についていない。

宙に浮かんで、アタシを見おろしている。

「あ……あ……」

「お母さん……あなたは本当にあたしの親なの?」

不思議そうに首をかしげて、その黒いふたつの穴がアタシを見る。