バンッ

願いもむなしく乱暴に窓を閉めると、そのままあたしの方へ来る。

鼓動が急に脈を強く打ち出す。

あたしはそのまま近づくお母さんを見ているしかできない。

「あんたさぁ、それイヤミ!?」

窓を閉めるということは、大声を出す合図。

近所に聞こえないようにしてから、お母さんはいつもあたしをののしる。

「え……?」

お母さんはあたしの手からお弁当箱を取り上げると、それを床にたたきつけた。

「それってイヤミだよね!?」

「お母さん?」

「私がお弁当作らないからって、目の前で洗うことないでしょうっ? 早起きしてあんたが作ったのがそんなにエラいの? そうなの?」

口から漂うのはお酒の匂い。


それが最近のお母さんの匂い。