「やめて!」
そう叫ぶと、アタシはホールの奥に走る。

別の自動ドアにぶつかるようにして止まると、また開けようと力を入れる。

「開かない! 開かないっ!」

いつの間にか、すぐそばに純子がいた。

「おかあ……さん」
そう言って右手を伸ばしてくる。

「近寄るな!」
そう言ってアタシが右手を振り回すと、それが純子の横顔にぶつかった。


ガスッ


鈍い音がして、純子が勢いよく床に倒れた。

「なんだ……。弱いじゃん」

アルコールのせいか、気が大きくなっている。

アタシは、そのまま純子のお腹を力いっぱい蹴った。

体重の軽い純子は、グフッと音を出して浮きあがった。