さっきまで、あんなにいたお客さんの姿はひとりもいない。

店員の姿もない。

薄暗いホールには、誰の姿もなかったのだ。

反対側の通路を見るが、やはり誰の姿も見えない。

「なによ、これ! ちょっと!」

大声を出すアタシの耳に、音が聞こえた。


ピーン ポーン パーン ポーン


ようやく放送が入ったのだ。

お店からのお詫びの案内だろう。

でも、この音、まるで学校みたいじゃない。

そんな事を思いながら、放送に耳を澄ませる。


___ジジッ___ジジ___



雑音がした後、マイクがONになるようなカタッという音。