バッと立ち上がると、アタシはカバンを手に取る。

「なんだい、おねーちゃん。それ、当たるんじゃねーか?」

70歳くらいの小柄の老人男性が、アタシの台をのぞきこんで言った。

「やめるんなら、そこ座らせてくれよ」

無言でアタシは、その老人を見る。


……なんで、アンタなんかに。


「誰がやめる、って言ったのよ。やめないわよ!」
雑音に消されないように、そう大声で叫ぶとアタシはまた椅子に腰かけた。

老人は舌打ちをして歩いてゆく。


そうよ……。


呪いなんてあるわけない。

バカじゃないのかしら。