「だってぇ。昨日もお通夜だったじゃないの。もう、十分でしょ」
踵を返して歩き出す博実の腕をお父さんがつかんだ。
「それ、本気で言ってるのか?」
「……は?」
「純子が死んだんだぞ。帰る、って正気なのか?」
「そうよ。もう、帰りたいの」
「それでも母親なのか? 本気で言ってるとしたら、おかしいぞお前」
「何よ!」
急に爆発したような大声を出した博実が、つかまれた腕をふりほどいた。
「私は本気よ! 何がいけないのよ! 勝手に出て行って、あのバカ娘を押しつけたくせに。急に父親ヅラするんじゃないわよ!」
狼狽するお父さんの顔。
私たちがまだいることに気づくと、
「それは悪かったと思ってる……。でも、最後くらい一緒に見送って……」
と、小声になった。
踵を返して歩き出す博実の腕をお父さんがつかんだ。
「それ、本気で言ってるのか?」
「……は?」
「純子が死んだんだぞ。帰る、って正気なのか?」
「そうよ。もう、帰りたいの」
「それでも母親なのか? 本気で言ってるとしたら、おかしいぞお前」
「何よ!」
急に爆発したような大声を出した博実が、つかまれた腕をふりほどいた。
「私は本気よ! 何がいけないのよ! 勝手に出て行って、あのバカ娘を押しつけたくせに。急に父親ヅラするんじゃないわよ!」
狼狽するお父さんの顔。
私たちがまだいることに気づくと、
「それは悪かったと思ってる……。でも、最後くらい一緒に見送って……」
と、小声になった。