出棺とともに、兼子先生がマイクの前に立つ。

「1組の皆さんはここまでで結構です。明日からは通常どおり登校してください」

その声が合図となって、会場にまた雑音があふれる。

まるで苦しい時間が終わったかのように、みんな一斉に席を立った。

「どうする? どっか行く?」

「やべ。午後休みなんてラッキー」

笑い声まで聞こえている。

信じられないような言葉が行き交っていたかと思うと、あっという間に会場には私と瑠奈と太一しかいなくなった。

「なんだよ、あいつら……」

出てゆくクラスメイトを唖然と見送る太一。

瑠奈はまだうつむいている。

「ねぇ。もう、帰っていい?」

前の方から博実の声が聞こえて、私は顔をあげた。

純子のお父さんが顔色を変えるのが見えた。

「お前、何言ってるんだよ」