翌日は雨だった。

まるで純子の悲しみのように、色の消えた町に静かに降り注いでいる。

プリントに書いてあるのは、駅裏にある葬儀会場。

近づくにつれて、だんだんと制服を着たクラスメイトの姿がちらほら見えた。

葬儀場の入り口には、『山本家』と薄墨で書いてあった。

「あ、瑠奈」

白いカサをさして立ち尽くしているのは、瑠奈だった。

「遙香」

寝ていないのだろうか、顔色の悪い瑠奈がホッとしたような表情を見せた。

「どうしたの? 待っててくれたの?」

「うん……。なんか、入る勇気がなくって」

気弱にうつむく。

まだ、自分を責めているのだろう。

「一緒に行こう」
そう言うと、ようやく瑠奈は表情を緩ませてコクンとうなずいた。