「はい。でも、本当につらかったのは、純子だと思います」

私の言葉に一瞬目を開いた鏡が、
「そうだね」
と、同意した。

「イヤな質問をするけど、すまないね」
そう前置きをしてから、鏡は両手を組んで顔を近づけて来た。

「山本純子さんは、いじめにあっていましたか?」

「……いじめ?」

「彼女は死ぬ前に、いじめにあっていたことを告白している。それは、本当のことなのかな?」

じっと、その目を見つめ返す。

『友達をやめる』と言いだした純子。

昼休みになると教室から出てゆく純子。

笑わなくなった純子。

「あったのかもしれません」

私の言葉に、兼子先生がギョッとした表情をしたのがわかった。

「何言ってるのよ。そんなのなかったじゃないの!?」