答えられない私に代わって、隣に座った兼子先生が、
「違います」
と、きっぱりと答えた。

黙って兼子先生を見ると、
「一番の友達は、柴田千夏でした」
と、事務的に続けた。

鏡はそれでも、私から目をそらさない。

こんなにまっすぐな視線があるんだ。
吸い寄せられるように、私はその瞳を見つめていた。

「放送室に最初に駆け付けた生徒は、橘さんだと聞いていますが」

グッと胸が苦しくなる。

イヤでも思い出す純子の姿。

「そうです」

そううなずくのが精一杯だった。

「そうか、つらかったね」
鏡が静かに言葉を落とした。