兼子先生は恥じるようにうつむくと、
「……とにかく、校長と話をしてまたご連絡しますから」
そう言って、ICUを出て行った。

他の先生もそれに続いて去る。

「あなた、純子の友達だったの?」

目を細めて、博実が私を見た。

「友達です」

現在形に直して言うが、気にもしないように博実は軽くうなずいた。

「ふぅん。あの子にも友達がいたんだね。暗い子で、どうせ学校でもいじめられてるとは思ってたけど」

「……それでも親なんですか?」

怒りでおかしくなりそうだった。

自分の子供が死んだっていうのに、こんな他人事のようにふるまえるなんて。

「親なんて思ってないわよ。あんな可愛くない子、アタシにとっては正直どうでもいいの。あなたにはわからないでしょうけどね」