「お母さん……」

兼子先生がそう声をかけた。

「お母さん、って呼ばれるの好きじゃないのよねぇ。アタシの名前は山本博実。そう呼んでもらえるかしら」

「……山本さん」

抵抗があるのか、兼子先生は戸惑った言い方をした。

「先生。首をつったってことはさ、あんたの責任でもあるわけでしょう?」

「え?」

山本博実は、口元に笑みを浮かべて続けた。

「学校に落ち度はないのか、って聞いてんのよ。悪いけど、うちはお金ないしさ、少しでも悪いと思うなら葬式代くらい負担してよね」

その言葉に、兼子先生は狼狽した顔をした。

「な、なにおっしゃっているんですか。私は学年主任も務めています。うちのクラスでは、いじめなんてありません!」

兼子先生の視線が教頭先生に向く。


必死で正当性をアピールしてるみたい。