年甲斐もなく、肌を露出したワンピースに香水の匂いが離れていてもする。

開口一番、女性は近くにいた先生に、
「純子が死んだって?」
と、高い声で言った。

「今、診てもらっています」

先生は、さっきと同じ言葉を繰り返す。

女性は、そばにあったベンチにドカッと座ると、
「ほんっと、あの子ロクな事しないんだから」
と、誰に言うでもなくつぶやいた。

女性の前に兼子先生が行く。

「失礼ですが、山本純子さんのお母様でいらっしゃいますか?」

「残念ながら、そう」

口の端を上げて、どうでもいいといった口調で答えた。

「先ほどお電話した担任の兼子です」

女性……純子のお母さんはそれには答えず、
「なに、あの子、学校で首つったの?」
と、あごでICUの奥にある扉を指した。