唯一残っていた瑠奈が、泣きながら私のそばへ。


「……遙香ぁ」

最初に純子を見たのは瑠奈だから、そのショックの大きさははかりしれない。

それでも私は、まだ現実感がなくて……。

「さっきのは、夢なの?」
そうつぶやくと、瑠奈はブンブンと首を横に振った。

そして、頬に流れる涙はそのままに、
「病院、行こ?」
と、私に言った。

「え、病院?」

一瞬、自分が何か病気なのかと思ったけれど、すぐに意味を理解した。

カバンを持って立ちあがる。

「うん……」

肩を落とした瑠奈が教室を出てゆく。

その後について行きながら、もう一度私は振り返る。

純子の席。

そこだけが夕日で照らされている。



純子、無事でいて……。