その時、バタバタと足音がして教頭先生が走ってきた。

右手にカギを持っている。

瑠奈が、
「先生、投げてっ!」
と言うと、カーブを描いてカギが瑠奈の手に落ちた。

瑠奈はカギ穴に差し込もうとするが、手が震えているらしく、
ガシャン
と、それを落とした。

あわてて拾うが、なかなか入れることができない。


早く、早く!


ようやくガチャッという大きな音がして勢いよく扉が開いた。

それまで慌てていた先生たちの動きが止まる。

瑠奈も、扉のノブを持ったまま固まっていた。


時間が止まる。