放送室からは、もう音が聞こえなかった。

「どきなさい!」

兼子先生があたしを跳ね飛ばした。

廊下に倒れこんだ私は、近くにいる先生に、
「カギは!? カギはないんですかっ!」
と、すがりついた。

「あ、ああ……。今、スペアキーを取りに行ってるから」

名前も知らない先生が、廊下の向こうを見やって言った。


誰もいない。


「早く、早くっ!」

誰に言っているのかも分からないまま叫ぶ。

「お願い、純子。お願いだから……」

「遙香!」

いつの間にか瑠奈がそばにいて、倒れたあたしを起こした。

「ああ、瑠奈。純子が、純子がっ……」