『柴田千夏、彼女は悪魔です。あたしをハメて罪をなすりつけました』

みんなの視線が千夏に集まる。

千夏はそんなことも気づかずに、目を見開いてスピーカーをにらんでいた。

『宮本 渚、彼女も悪魔です。暴力であたしを傷つけました』

「何だよ、デタラメ言うなよな!」

立ち上がって渚は叫ぶが、誰も同意の声を出さなかった。

『大河内美鈴、悪魔です。学級委員である彼女は、あたしを脅して笑っていました』

数秒の沈黙。

その間、教室は静まり返っていた。

『兼子先生、悪魔。あたしの言うことなんて耳も貸さずに犯人扱いをした』

「……何を言ってるのよ」

ハハッと兼子先生は笑い声を上げたが、乾いた音しか出ない。

我に返ったように、兼子先生は急いで教室から出て行った。

放送室に向かったのだろう。

『田中哲也、彼も悪魔。あたしを暴力で襲おうとした』

哲也は足を組んで目を閉じている。