校長室には初めて入った。

あたしが入ると、兼子先生が、
「彼女が山本……」
と、言いかけて言葉を切った。

あたしの顔を見て絶句しているのだ。

「山本純子です」

頭を深くさげる。

校長先生は、近くで見ると思ったよりも身長は小さかった。

あたしの顔を見ると、目を細めた。

「君、ケガをしてるんじゃないのか?」

その声は、久々に聞く心配そうな声だった。

「大丈夫です」
そう言うと、あたしはすすめられるまま校長室の端に置いてあるソファに座った。

「昨日のことで、校長先生からお話があります」
兼子先生がため息をつきながら言った。


まるで自分も被害者のように。


向かい側に、ふたりが座った。