少し、心が揺らぐ。

決心したはずなのに、やっぱり死ぬのは怖い。

廊下で立ち止まると、知らずに唇をかみしめていた。

存在のないあたしが死んでも、なんの影響もないような気がした。

「山本さん、ここにいたの」

後ろからトゲのある口調がした。

振り向かなくても誰かは分かる。

「……はい」

「ちょっと、校長室に来て」

声は兼子先生だった。

「はい」

あたしが振り向くと、もう兼子先生はせかせかと歩き出している。


それを見ていると、また決心が強まる。