444~replay~

夕暮れの校舎は、下駄箱の扉を閉める音さえも反射しているようで心細くさせる。

もどかしく上靴を履くと、あたしは階段をのぼる。

誰の声も聞こえない。

自分の足音だけが、一緒についてきているよう。


3階まで登りきると、窓からの光で廊下がオレンジに染まっていた。

教室の後ろの扉は開いていた。

もちろん、誰もいない。

そのまま自分の席に行くと、机の中を覗きこむ。

「あった」

やっぱりそこには教科書が入っている。

もう、本当にバカだ。

それでも家につく前に気づいて良かった。

それをカバンに詰めこむ。

これで大丈夫。

よし、帰ろう。

そう思って教室から出ようとした時、あたしの目は教壇の上にある赤い物体をとらえた。