「なんで……? なんでぇ……」

気づくとあたしは泣いていた。

今日、ずっと我慢していた涙は止まることなく流れ続ける。

「なんで、そんなひどいことするの? あたしがいったい何をしたって言うの?」

『だから、あんたが泥棒だからだよ』

声色を落とした千夏の声が聞こえた。

「泥棒……?」

『人の男に手ぇ出すからだよ。哲也を問い詰めたらさ、『あんたに誘惑された』って言ってたし』

「そんな……」

あの屋上での出来事を言ってるのはすぐにわかった。

だけど、それは違う。

でも、言い訳をしたって無駄なことなのももうわかりきっていた。

『これであんたは終わりだね。バカはバカらしく、大人しくしてればいいのにさ』

「……それで満足?」

自分の言葉じゃないみたい。


勝手に口がしゃべっている感覚だった。