『あのあと、大丈夫だったの?』

「……千夏が……やった……んですか?」

ようやくそう言い切った。

違う、と否定してほしかった。

今日は用事ができて、いなくなったんだよ、と。

そう言ってほしかった。

でも、千夏は笑って言う。
『また、泥棒だと思われちゃったね』

「やっぱり、千夏がやったの?」

もう敬語を使うことも忘れてあたしは言った。

体中が震えだしている。

ガタガタ震えながら、足元から這い上がる寒気。

『やっぱ、けっこう怒られちゃったぁ?』

楽しそうに千夏はアハハと笑った。

笑い声が頭に響き渡る。