死ぬ勇気なんてないけれど、もし死ねるならラクになれるのかもしれない。

こんな苦しいだけの毎日を終えることができるなら、そのほうが……。

そこまで考えて、あたしは頭を振った。


……なんてこと考えていたのだろう。


その時、スマホが鳴り出した。

見ると、見たこともない番号。

普段なら出ないけど、ひょっとしたらさっきのCDショップの店員かも。

「……もしもし?」
おそるおそる出ると、
「純子?」
と、その声は言った。

「はい」

「ウチだよ。瑠奈」

「瑠奈」

これまでは電話ですら話をしなかったのに、あたしはその声を聞いて自然に泣きそうになった。

グッと涙をこらえる。