それまで黙っていた店員が、ようやく口を開いた。

「で、どうします? 警察呼んでもいいですけど」

警察という単語に兼子先生はハッと振り向く。

ようやくそこで、店員の存在に気づいたようだった。

「それは困ります! ここは何とか穏便に済ませていただけませんか!?」

すがるように店員に言う。

「それは、まぁ……。でも、彼女は二度とうちの店には来させないでくださいよ」

まるで物にそうするように、店員はあたしを指さした。

「もちろんです! 彼女も反省してますからっ。ほら、山本さんも謝りなさい!」

強引に頭を押さえつけられる。

机におでこがぶつかるが、強い力で容赦ない。

「謝れって言ってんのよ!」

「……ごめんなさい」

「聞こえません」

店員の声が降り注いだ。