「でも、あたしじゃない。あたしじゃ……」

そこまで口にして気づく。


まさか……。


千夏が?


何も言わないあたしにしびれを切らしたのか、店員があたしの財布を勝手に開けた。

それは兼子先生もやったこと。

「学生証があるな。学校に電話するから」

「イヤです! 聞いてください。あたしじゃないんです!」

財布を奪い返そうと立ち上がるが、
「座ってろ!」
という大声に一喝され、あたしは力なくまた座る。


千夏が……。


それしか考えられない。

どうして?

そこまでしてなんであたしを?