知らない。

あたしは、なにも知らないのに。

間違いに決まっている。

こんなのおかしいよ。

バックヤードを抜けると、狭い部屋にあたしは通された。

簡素な机と椅子があるだけの部屋。

壁には、注意書きがたくさん書いてる。

ここは、スタッフの休憩室なのかも。

向かい側に座った店員が、足を組んだ。

「カバンの中身、出して」

「カバン……」

以前も同じことがあった。

それを思い出して、胸が苦しくなった。

「時間ないんだよ。早くしろよ」

もう、店員は敬語も使わずにあたしのエコバックを強引に奪い取ると、机の上にぶちまけた。