「あれ?」

店内を一周しても、みんなの姿は見えなかった。

どこに行ったんだろう?

不思議に思って、もう一周してみるけれどどこにもいない。

ひょっとして、あたしが遅いから先に店を出たのかも。

わきあがる考えが、すぐに『そうに違いない』という気持ちに変わった。

また、怒らせちゃう。

あたしはエコバックを肩にかけ直すと、急いで店の出口に向かった。


ブブブブブブブー!


突然、店内に響き渡るベル。

すごい音量があたしのそばで鳴り響いた。

店内のお客さんが一斉にあたしを見た。

音は鳴りやまない。

「なに、これ……」

これ以上聞いていられなくて、あたしは外に出ようと開いた自動ドアへ歩こうとした。