「う、うん!」

涙があふれそう。

でも、いつもと違う。

これはうれしくてあふれる涙だから。

「さ、それじゃ。ちょっとDVD見てくるね」
そう言って千夏は手を軽く振って歩いて行った。

それを見送りながら、あたしは安堵のため息を漏らした。


こんなうれしい時間は久しぶりだったから。


CDを手に取って眺める。

さっきまでの重い気持ちと違って、かろやかな気分。

興味のない音楽も、なんだか聴いてみたくなる。

しばらくして、あたしは店内にいる3人を探しに歩き出した。

やっぱり興味のないCDを買うほど余裕はないし。

それに、この後みんなでご飯だって食べるだろうし。